2021年度日本植物分類学会講演会のお知らせ

2021年度日本植物分類学会講演会のお知らせ

講演会担当委員 高山 浩司

2021年度の日本植物分類学会講演会を大阪学院大学で開催いたします。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として,受付での検温,手指のアルコール消毒,間隔をあけての着席をお願いします。講演会場は十分な広さがあります(定員 288 名の階段教室)。皆様お誘いあわせの上,ぜひご参加ください。

なお,Web会議システムを用いたオンライン配信も同時に行う予定です。

参加方法に関わらず,以下のサイトからの事前登録にご協力ください。オンラインでの参加をご希望の方には,参加登録後にメールにて接続方法を連絡します。締め切りは2021年12月15日(水)です。参加者多数の場合は,早期に締め切らせていただく場合がございます。*ニュースレター11月号発送遅延の影響があった場合には、期日を過ぎても申し込みを受け付けます。参加登録サイトにアクセスできない場合は、下記メールまでお知らせください。直前のお知らせとなってしまい大変申し訳ございません。

新型コロナウイルスの影響等により,会場での開催が中止となる場合には,オンラインのみでの開催となります。開催方法が変更になる場合は,登録メールアドレスに2021年12月16日までに連絡をいたします。

参加登録https://forms.gle/6SEbVJZEFKvP4MPt5

【日時】2021年12月18日(土)午前10時~午後5時00分

【プログラム】

10:00–10:10 ご挨拶 村上 哲明(会長)

10:10–11:00 石川 直子(大阪市立大学)「オオバコのかたちの進化ー奈良公園における矮化現象についてー」

11:00–11:50 鈴木 雅大(神戸大学)「日本産紅藻類の分類学的研究」

(11:50–13:10 昼食)

13:10–14:00 中濱 直之(兵庫県立大学)「絶滅危惧植物の過去・現在・未来ー博物館標本と域外保全集団を用いた集団遺伝解析ー」

14:00–14:50 酒井 章子(京都大学)「花に見る♂の都合・♀の事情」

(14:50-15:10 休憩)

15:10–16:00 藤浪 理恵子(京都教育大学)「シダ植物小葉類の二又分枝と根と茎の進化」

16:00–16:50 村上 哲明(東京都立大学)「シダ植物の日本新産種や希少種の配偶体での相次ぐ発見」

16:50–17:00 ご挨拶 林 一彦

【講演会場】大阪学院大学 2号館地下1階2号教室(02-B1-02教室)

〒564-8511 大阪府吹田市岸部南2丁目36番1号(電話:06-6381-8434)

*オンラインのみの開催に変更した場合は,大阪学院大学では開催しません。

会場までのアクセス】

JR 東海道本線岸辺駅,阪急京都線正雀駅から大阪学院大学までともに徒歩 5 分。 交通アクセス http://www.osaka-gu.ac.jp/guide/campus/access.html,キャンパスマップ http://www.osaka-gu.ac.jp/guide/campus/index.html

【その他】参加費は無料です。過密を避けるため,今年度はティーサーバーを設置しません。飲み物等につきましては各自ご持参ください。講演会終了後の懇親会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催いたしません。

【講演要旨】

「オオバコのかたちの進化ー奈良公園における矮化現象についてー」

石川 直子(大阪市立大学)

 奈良公園には歴史的にシカが多く,過度のシカ食害により矮化したと考えられる草本植物が多くみられる.特に奈良公園のオオバコは,シカがいない場所に生える普通のオオバコと比較して極端に葉や花茎が短く,さらにその葉や花茎が地面に倒伏するという遺伝的特徴を持つ.本講演では,こうしたシカ食害回避に有効と考えられるオオバコのかたちの進化について,その遺伝的・生理的背景を紹介したい.

「日本産紅藻類の分類学的研究」

鈴木 雅大(神戸大学)

 日本産紅藻類は,海産997種,淡水産32種が知られているが,実体不明なもの,複数種を混同しているもの,海外の種に充てられているが別種と考えられるものなど,分類学的な問題を抱えた種を多く含んでいる。国内外で分類学的研究が進められており,新種,日本新産種が毎年記載,報告されているものの,分類学的検討が必要とされている種は80種を超えており,研究は未だ途上である。本講演では,日本の海産及び淡水産紅藻類の分類学的研究の現状と今後の展望について紹介したい。

「絶滅危惧植物の過去・現在・未来ー博物館標本と域外保全集団を用いた集団遺伝解析ー」

中濱 直之(兵庫県立大学)

 絶滅危惧植物の保全において,生育域外保全は有効な手段の一つである。生育域外保全集団は,野生集団が本来持っていた遺伝的多様性のうち,どの程度を保持できているのだろうか。これを明らかにするには,博物館標本が大きな力を発揮する。演者らは,兵庫県で絶滅危惧種に選定されている海浜性植物3種(ウンラン,ハマアザミ,マツナ)の3種について博物館標本,野生集団,生育域外保全集団それぞれの集団遺伝解析を実施した。本講演では,各種の遺伝的多様性の時間的変遷とともに今後の保全への提言について紹介する。

「花に見る♂の都合・♀の事情」

酒井 章子(京都大学)

 雄と雌はお互いがいなければ子を残せない相利的な関係にあるが,雄と雌の利害はいつも一致するわけではない。雌雄間の利害の対立は性的対立と呼ばれ,主に動物で研究されてきた。両性花を持つ植物では,性的対立は一つの花の中に見ることができる。たとえば,花粉を効率よく散布する花の構造は,しばしば柱頭での花粉の受け取りを妨げる。雌雄異株の植物では,動物のものと似た性的対立があるかもしれない。本講演では,いくつかの植物の送粉様式を,性的対立の視点から紹介し,性的対立が多様性に及ぼす効果にも言及したい。

「シダ植物小葉類の二又分枝と根と茎の進化」

藤浪 理恵子(京都教育大学)

 シダ植物小葉類はその祖先が約4億年前から存在し,古い体制を残していると考えられている。現生の小葉類は根と茎が二又分枝し,根,茎,葉がない前維管束植物の化石にみられる軸が二又状に分かれる形とよく似ている。我々の研究から,現生の小葉類ヒカゲノカズラの根と茎で頂端分裂組織の細胞分裂動態を解析した結果,どちらも分枝の際,頂端分裂組織が2つに分かれて新たな根と茎が形成されることが明らかとなり,根と茎は比較できることが示唆された。本講演では,小葉類の根と茎の形態形成と,そこからみえた根と茎の起源について議論する。

「シダ植物の日本新産種や希少種の配偶体での相次ぐ発見」

村上 哲明(東京都立大学)

 私の研究グループでは,最近,無性芽による栄養繁殖によって基本的に配偶体世代だけで生存し続けている日本産シダ植物を野外で探索し,DNA情報を活用して,それがどの種の配偶体か同定する研究を行ってきた。その結果,イトシシラン,ミカワコケシノブ,タキミシダ,ヒメサジラン,カラクサシダといった希少種の配偶体が広く生育していることを見出した。また小笠原諸島でも,日本未記録種のAntrophyum plantagineum(ナンヨウタキミシダ)の配偶体が互いに40〜200 kmも離れた島々に生育していることを明らかにした。

【問い合わせ先】電話:075-753-4131(授業等で不在の場合があります。ご容赦ください) メール:takayama_at_sys.bot.kyoto-u.ac.jp(_at_ を @ に置換してください)