講演会

年1回、植物に関する興味深い話題やトピックスについて数名の演者に講演をお願いしています。会員以外もご来聴頂くことができます。

 

2020年度日本植物分類学会講演会のお知らせ(講演会担当委員 布施 静香)

 ※本講演会はオンライン開催へ変更することになりました。詳細につきましては準備出来次第掲載いたします(2020年11月24日現在)。

  • 2020 年度の日本植物分類学会講演会は,大阪学院大学の林一彦先生にお世話いただき,会場での開催に向けて準備を進めております。今回は,2020 年度日本植物分類学会賞(第 19回学会賞,第 14 回奨励賞)の受賞者を含む,6 名の先生方にご講演いただく予定です。今後の新型コロナウイルスの状況によりましては,中止あるいは開催形態の変更(インターネットを利用したビデオ配信など)の判断をせざるを得ないかもしれませんが,情勢を踏まえつつ可能な限り良い講演会が開催できるよう努力してまいります。詳細につきましては,次号のニュースレターでご案内いたします。一日も早いコロナ禍の収束を願っております。
  • 日時:2020 年 12 月 19 日(土)午前 10 時~午後 5 時 15 分
  • 講演スケジュール(奨励賞 *,学会賞 **)
    • 10:00–10:05 ご挨拶 伊藤 元己(会長)
    • 10:05–10:50 李 忠建(京都大学)「ツユクサ科植物の世界―系統で見直す多様性と分類」
    • 10:50–11:50 堀 清鷹 *(高知県立牧野植物園)「シダ植物の無配生殖種における網状進化の解明と分類学的整理」
    • (11:50–13:10 昼食)
    • 13:10–14:10 山本 将也 *(兵庫教育大学)「岩に生えるサクラソウの進化史・生態・保全」
    • 14:10–14:55 志賀 隆(新潟大学)「モンゴル探訪記:大陸の水草を求めて」
    • (14:50-15:00 休憩)
    • 15:10–16:10 綿野 泰行 **(千葉大学)「分子マーカーが描くパターンに耳を傾ける」
    • 16:10–17:10 高橋 弘 **(岐阜大学)「植物誌から見えてきた岐阜県の植物相における特徴」
    • 17:10–17:15 ご挨拶 林 一彦
  • 講演会場:大阪学院大学 2号館地下1階2号教室(02-B1-02 教室)〒564-8511 大阪府吹田市岸辺南2丁目36番1号(電話:06-6381-8434)
  • 会場までのアクセス:JR 東海道本線岸辺駅,阪急京都線正雀駅から大阪学院大学までともに徒歩 5 分。交通アクセス http://www.osaka-gu.ac.jp/guide/campus/access.html
    キャンパスマップ http://www.osaka-gu.ac.jp/guide/campus/index.html
  • その他:大阪学院大学で開催する場合は,事前の参加申し込みは不要です。直接会場へお越しください。参加費は無料です。過密を避けるため,今年度はティーサーバーを設置しません。飲み物等につきましては各自ご持参ください。講演会終了後の懇親会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため自粛いたします。
  • 講演要旨
    • 「ツユクサ科植物の世界―系統で見直す多様性と分類」
      李 忠建(京都大学大学院理学研究科)
      日本には,ツユクサやイボクサ,ヤブミョウガなど,5属12種のツユクサ科植物があり,世界では熱帯を中心に41属650種が知られている。ツユクサ科植物は,花の寿命が短い上にもろいものが多く,押し葉標本で花形態を観察するのが難しいことから,分類が難しい植物群の一つとなっている。私たちは日本や東南アジアの植物を中心に調査・解析を進めることができたので,その成果を含め,最新のDNA解析に基づいたツユクサ科の新しい分類を紹介する。また,花を含む形態の多様性を示し,ツユクサ科植物の多彩な世界を紹介する。
    • 「シダ植物の無配生殖種における網状進化の解明と分類学的整理」
      堀 清鷹(高知県立牧野植物園)
      シダ植物には,二次的に有性生殖をやめて無配生殖と呼ばれる無性生殖を行っているものが少なくない。無配生殖種の子孫は親と遺伝的に同一(クローン)となり,形態変異は少ないと考えられる。しかし、実際は幅広い形態変異や遺伝的多様性がみられることがむしろ一般的である。オシダ科オシダ属Dryopterisは,世界的規模で網状進化していることが知られているが,日本周辺のアジア地域ではとりわけ無配生殖種が豊富に進化し,その多くが連続的な形態変異をもつことによって,種間の差異が分かりにくくなっている。本講演ではDNA解析による最新の研究成果を紹介する。
    • 「岩に生えるサクラソウの進化史・生態・保全」
      山本将也(兵庫教育大学大学院学校教育研究科)
       サクラソウ属は約430種からなる大きなグループで,北半球の多様な環境へ適応進化を遂げた植物群の一つである。日本には14種が自生し、東アジアから渡ってきた系統と北米を経由してきた2つの系統があると考えられている。しかし,種間の系統関係や列島内でどのように多様性を獲得したのかは明らかではなかった。また,ほとんど全ての分類群が絶滅危惧種に指定されており,近年は地域的な個体群の衰退が著しい。本講演では,DNA解析に基づくサクラソウ属植物の系統進化や種分化機構についての研究成果,そして,日本のサクラソウ属の中で最も絶滅が危惧されているチチブイワザクラの保全研究について紹介する。
    • 「モンゴル探訪記:大陸の水草を求めて」
      志賀 隆(新潟大学人文社会科学系)
      モンゴル国は東アジア北部に位置する内陸国である。同国のさく葉標本の集積状況は,その国土の広さに対して約14 万点と十分な量とは言えず,植物のインベントリー研究は未だ成熟した段階には達していないのが現状である。このような中,韓国の国立樹木園(KNA)とモンゴル国立大とがモンゴル国内の詳細なフロラ調査を2016年より開始している。発表者は,水生植物の専門家として2017年の夏以降,この調査に3回,計2か月参加してきた。本講演ではモンゴルの自然や野外調査の様子を写真を交えて紹介する。
    • 「分子マーカーが描くパターンに耳を傾ける」
      綿野泰行(千葉大学大学院理学研究院)
      私が研究をスタートさせた当時,日本の植物分類学分野では遺伝マーカーを用いる環境が無かった。アイソザイムも残念なことにバンドの類似度といったpheneticな形質として扱われていた。修士では自力でメンデル遺伝マーカーを開発し,シダ植物の一胞子による遠隔地への移住と想定される遺伝的構造に出会った。それ以来,分子マーカーが描くパターンに魅せられてきた。この講演では,「マムシグサの一花序に付いた果実内の種子の父親分布」から最も大きな「ゴヨウマツ類のベーリング海峡を挟んだ大陸間のオルガネラDNAの分布パターン」まで,私が気に入ったパターンを紹介し、そこから読み取れる生物学的現象について紹介する。
    • 「植物誌から見えてきた岐阜県の植物相における特徴」
      高橋 弘(岐阜県植物誌調査会・岐阜大学)
      2019年に刊行された岐阜県植物誌では,種内分類群を除いて2359種の自生維管束植物を記録した。全国の都道府県の中でも屈指のこの数は,岐阜県が日本海要素と太平洋要素,あるいは東日本要素と西日本要素が交わる地域にあることや,中部地方あるいは東海地方に固有な種も数多く分布することなどに依っており,それらの幾つかの植物を紹介する。
       また,異種とさているキク科のオヤマボクチとヤマボクチや,明らかな亜種関係あるいは変種関係とされているヤマハハコとホソバヤマハハコなど,分類群の区別が不可能な植物が数多く見られることなどについても紹介する。
  • 開催形態に関する問い合わせ先:開催形態の変更の有無については2020年12月14日(月)以降にお問い合わせください。電話・ファックス:075-753-4145(授業等で不在の場合があります。ご容赦ください)。メール:fuse_at_sys.bot.kyoto-u.ac.jp(_at_を@に置換してください)。

過去の講演会情報

年度講演者開催場所
2019年度稗田 真也「琵琶湖における特定外来生物オオバナミズキンバイの分類・生活史・管理について」
本庄 三恵「遺伝子の働きから見た植物の季節性」
池田 啓「DNA解析から改めて考える日本列島の高山植物相の成り立ち」
藤川 和美「ヒマラヤから横断山脈、そしてミャンマーへ。植物標本を採集する」
能城 修一「先史時代の西日本におけるイチイガシの重要性」
高宮 正之「日本産シダ植物メシダ科ノコギリシダ属Diplaziumの分類に関する四半世紀の成果」
大阪学院大学
2018年度伊東 拓朗「マンネングサ属の特異な生き様に着目した植物進化研究」
羽生田 岳昭「分子系統地理学的なアプローチで探る海藻類の移入」
高山 浩司「小笠原諸島南硫黄島の植物相とシマクモキリソウの再発見」
道盛 正樹「しだとこけ談話会を礎にして」
山田 敏弘「球果によるマツ属の分類と日本のマツ亜属の進化史」
塚腰 実「岐阜県可児市から見つかった新第三紀中新世のショウガ目果実化石」
大阪学院大学
2017年度永益 英敏「学名の読み方・綴り方ー学名のあれこれ入門編」
綿野 泰行「ハイマツとキタゴヨウ:交雑を通じた遺伝子の種間での交換」
木下 栄一郎「植物の生活史研究―生命表の利用」
邑田 仁「ヒマラヤ造山運動とテンナンショウ属の分化」
角野 康郎「日本の水草研究はどこまで進んだか」
大阪学院大学
2016年度藤井 伸二「海岸線の植物」
岩崎 貴也「日本の温帯林植物における集団分化の歴史:現在の遺伝的地域性はどのようにして形成されたか?」
海老原 淳「日本産シダ植物の多様性総覧を目指した新図鑑の試み」
戸部 博「ハナイカダとその仲間に見られる花と生殖器官の進化」
工藤 洋「河野先生とのフィールドワーク」
田村 実「広義ユリ科の世界」
大阪学院大学
2015年度瀬戸口 浩彰「地域社会と植物園と大学のネットワークで絶滅危惧種を守る試み」
長谷川 匡弘「ママコナ属でみる花形態の多様化と種分化」
伊藤 元己「植物の生物多様性情報の収集と利用」
加藤 真「昆虫における植物食の起源と多様な展開」
梅林 正芳「『植物図』について」
大阪学院大学
2014年度矢野 興一「アジア産スゲ属植物の多様性とその進化」
小林 禧樹「淡路島の植物相の特徴と注目される植物-改訂増補版を出版して」
掛澤 明弘「屋久島高地における植物の小型化現象-ヒメコナスビを例にして-」
菅原 敬「日本産カンアオイ属植物,特に常緑性カンアオイ類についての分類学的研究の現状と課題」
長谷部 光泰「陸上植物の面白さ」
末次 健司「従属栄養植物の奇妙な生活-植物が光合成をやめる際,必要になる適応とは?」
大阪学院大学
2013年度加藤 雅啓「着生シダ植物の進化」
西野 貴子「サワシロギク Aster rugulosus における湿地と蛇紋岩地帯への生態的適応」
井鷺 裕司「全個体ジェノタイピングによる絶滅危惧植物の保全」
門田 裕一「日本産アザミ属の分類学的研究─解決できた問題,できなかった問題─」
崎尾 均「佐渡島の森林植生 ―気候・地質・人為の影響―」
大阪学院大学
2012年度川窪 伸光「微速度・高速度撮影によるナチュラリスト感性の映像化の試み」
田中 伸幸「カンナ科とはどんな植物か~その混乱する分類と課題~」
山本 武能「ビーベルシュタイニア科の花と生殖器官の発生学的研究」
水田 光雄「新しい帰化植物の話題と侵入経路」
高橋 正道「白亜紀に咲いていた初期の被子植物の花を探す遙かなる旅路の先にあるものは?」
中西 弘樹「南方系植物分布北上の植物地理」
大阪学院大学
2011年度角野 康郎「日本の絶滅危惧水草をめぐって」
東 浩司「日本産セリ科植物の系統分類」
木場 英久「イネ科の小穂形態の基礎」
山住 一郎「シダの無配生殖と無胞子生殖―多様性を生む生殖法―」
狩山 俊悟「岡山県の植物と岡山県植物誌への取り組み」
大阪学院大学