会長挨拶
会長 永益英敏(京都大学総合博物館)
旧日本植物分類学会が植物分類地理学会と統合し,現在の日本植物分類学会となったのは2001年のことでした。学会統合のために奔走していたあの時から,あっという間に四半世紀も経ってしまったことに,あらためて驚いてしまいます。この四半世紀のうちに,日本植物分類学会は歴代の会長のもと様々な事業を展開してきました。社会的な要請にも応えつつ,植物分類学の発展に貢献できる力をもった学会として発展してきたと思います。しかし,世の中はどんどんと変化していきます。日本植物分類学会が植物分類学の発展に寄与できる学会であり続けるためには,常に変革の努力を怠ることはできません。インターネットの発展により世界的な情報共有の速度はすさまじいものとなり,オープンサイエンスとしての学術雑誌のあり方もそれに合わせて急速に変わりつつあります。また,遅れていると指摘のある標本情報等の発信についても学会として努力する必要を感じます。海外調査や標本の通関にかかる規制もどんどん厳しくなり,情報の更新と共有のためには関連する学会との連携による対応が求められます。日本植物分類学会として、こうした変化と課題を前向きに受け止め、柔軟な対応を重ねながら、植物分類学の一層の発展に貢献していく所存です。
日本植物分類学会は,植物の多様性と,それを生み出した進化に関心をもつ研究者を中心とした学会です。会員による研究分野は,系統分類学にとどまらず,系統地理学,生態学,集団遺伝学,保全生物学,さらには進化生物学にまで広がっています。また,研究対象も陸上植物(コケ植物・シダ植物・裸子植物・被子植物)に限らず,藻類や菌類を含むなど,多様です。このように,日本植物分類学会は,植物分類学を基盤としつつ,関連分野との連携のもとで多様な研究を包含してきました。
日本植物分類学会は,植物に関心をもつ学生,研究者,ならびに植物愛好家など,多様な背景をもつ方々に開かれた学会です。今後も,幅広い立場の会員を迎え入れながら,学会活動の充実を図っていきたいと考えております。