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活動他/2014大浦湾合同要望書

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著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める19学会合同要望書

平成26年11月11日

防衛大臣 江渡聡徳 様

沖縄防衛局長 井上一徳 様

環境大臣 望月義夫 様

沖縄県知事 仲井眞弘多 様

著しく高い生物多様性を擁する沖縄県大浦湾の環境保全を求める19学会合同要望書

日本生態学会、日本ベントス学会自然環境保全委員会、日本鳥学会、日本魚類学会、日本動物分類学会、日本昆虫学会、種生物学会、日本藻類学会、日本植物分類学会、植物地理・分類学会、日本植生史学会、日本花粉学会、日本霊長類学会、日本衛生動物学会、日本遺伝学会、日本生物地理学会、日本陸水学会、日本動物学会、地学団体研究会(順不同)

西太平洋の熱帯域に発達するサンゴ礁の生態系は、世界中の海の中で最も高い生物多様性を擁する場所として知られ、その保全は国際的な重要課題として認識されています。日本の琉球列島は、その豊かなサンゴ礁生態系の北限に位置しています。

しかし、琉球列島の多くの場所では、これまでの沿岸開発による海岸線の改変や、陸上部の開発に伴う赤土などの流出によって、サンゴ礁の生態系が大きく損なわれ、ここで育まれてきた豊かな生物多様性が失われつつあります。

そのような中にあって、沖縄本島東岸の北部に位置する名護市辺野古・大浦湾周辺には、サンゴ礁とそれに隣接する多様な自然環境がこれまで大きな破壊を受けることなく残っており、そこには著しく高い生物多様性が保持されています。このようなサンゴ礁生態系は世界に誇るべきものであり、その保全は、生物多様性条約の締約国である日本の責務と言えます。

現在、この豊かなサンゴ礁生態系が残されている大浦湾において、その湾口部付近(辺野古周辺海域)を埋め立てて米軍基地飛行場を建設する計画が進んでおり、2014年8月から海底ボーリング調査(埋め立て本体工事の準備)が始まっています。

このまま埋め立て工事が進むならば、この海域に残されているかけがえのないサンゴ礁生態系の豊かさが、その価値を多くの国民に認識されないまま、永久に失われてしまう可能性があります。

大浦湾周辺のサンゴ礁生態系は、以下のような特筆すべき特徴と価値を持っています。    

  1. 大浦湾一帯は、世界の生物多様性のホットスポットのひとつと認識されている我が国の中でも極めて生物多様性の高い地域であり、防衛省の環境影響評価書では5334種もの生物が海域から記録されています(水鳥を含む。資料1)。そこには262種もの絶滅危惧種が含まれています。また,その後の調査によって,巨大なナマコの未記載種やカイメン、クラゲムシ、ウミトサカ、ウミウシ、カニなどの未記載・未記録種が次々に報告されています(資料2)。多くの未記載種が最近になって報告されていることから(そのうち11種は2007年以降に新種として記載されました)、この海域の種多様性は現在認識されているよりももっと高い可能性があります。そして、慶良間諸島や八重山諸島のサンゴ礁では見つかっていない数多くの生物が大浦湾に生息しているという事実が、この海域のかけがえのなさをよく表しています。
  2. 大浦湾一帯には、多様な環境が隣接しあいながら、豊かな生態系を作り上げています。よく繁った亜熱帯林から流れ出る自然度の高い川と、その河口に発達するマングローブ林、湾を縁取る自然海岸(砂浜と岩礁)と干潟、よく発達したサンゴ礁とその内側に発達する海草藻場、湾内の深みに広がる細砂底や砂泥底、ガレ場−−それらが国内ではここでしか見られないきわめて特徴的な生態系を作り出しています。ジュゴンの食み跡の残る広大な海草藻場、高さが7mにもなるマジリモクの藻場、巨大なハマサンゴの群体が続く浅瀬、アオサンゴの大コロニー、ブンブクやナマコが豊産する細砂底、沖縄島で最も多くの種の魚が溯上する川などは、この生態系の貴重さを際立たせています。ジュゴンには長距離移動をする個体がいることが最近報告され、沖縄本島のジュゴン個体群はフィリピンの個体群とつながっていると見ることができます。この視点は、ジュゴンの生息場所である海草藻場の生態系を良好に維持し続けることの重要性を示唆しています。

上記のような調査結果は、大浦湾一帯が、生物多様性保全という視点から見れば、我が国で最も貴重な海域の一つであるということを示しています。

この海域での埋め立て計画については、環境影響評価法に基づいて、環境影響評価書(補正後の環境影響評価書)が2012年12月に提出されていますが、そこでは、総合評価として「環境保全への配慮は適正であり、環境保全の基準又は目標との整合性も図られていると判断しました」と結論されています。しかし、この評価書では最近発見された未記録・未記載種(資料2)が掲載されていないだけでなく,多様な環境が複合しているこの海域の特異性がきちんと評価されていません。

以上の認識に基づき、自然史研究にたずさわる者が組織する学術団体である19学会(またはその下部組織である環境保全部門の委員会)の連名で、国および沖縄県に対し、下記のことを要望します。

  1. 埋め立て工事に向けたすべての手続きについて、環境と生態系を次世代に引き継ぐことを視野に入れた持続的な開発のあり方の視点から見直すこと。
  2. 環境影響評価の際に欠落していた事項(分類学的検討が十分に進んでいない無脊椎動物の種多様性やこの海域の特異性)に関する再調査を実施し、万全の評価を行なうこと。

 添付資料

  • 資料1 環境影響評価書中の各分類群(海域生物と水鳥類)の種数と絶滅危惧種の数 資料1.doc(432)
  • 資料2 辺野古・大浦湾海域から近年報告された特筆すべき生物種 資料2.doc(598)

 本件の連絡先

日本生態学会 自然保護専門委員会 委員長
加藤真(京都大学大学院教授)
〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町
京都大学大学院人間・環境学研究科
Tel: 075−753−6849
e-mail: kato@zoo.zool.kyoto-u.ac.jp 
日本ベントス学会 自然環境保全委員会 委員長
佐藤正典(鹿児島大学大学院教授)
〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-35
鹿児島大学大学院理工学研究科(理学系)
Tel: 099-285-8169
e-mail: sato@sci.kagoshima-u.ac.jp

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資料1.doc 資料2.doc

最終更新時間:2014年11月28日 08時46分41秒

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